【自転車通勤考】10kmオーバー編

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POSTED | 2020年12月21日
【自転車通勤考】10kmオーバー編

“自転車のある生活” を標榜するberuf baggage的視点で考える自転車通勤スタイルを短期連載でお届け。

前回の「5km編」に引き続き、今回は「10kmオーバー編」として走行距離が倍(以上)に伸びたケースを考察します。

これから自転車通勤を始めてみようという方も、お休みしてたけど再チャレンジしよう!という方もぜひぜひ参考にしてみてください。

※本編はあくまでberuf的視点に立った考察ですので、ご自身の自転車ライフとの共通点や相違点を愉しみながら読み進めていただければ幸いです。

【自転車通勤考】10kmオーバー編

―距離が倍、ということは掛かる時間は・・・?

前回のコラムでは、

【5km】自転車通勤の距離としては短めで疲れにくい距離。目安の所要時間は15分~20分程度。(東京都内で一般的なスポーツバイクを使用した場合)

という内容で5kmの自転車通勤を定義したわけですが、今回は便宜上、この「5km」を最小単位として2倍の10km、3倍の15km・・・

という具合に距離を伸ばしていったとき、掛かる時間はどう変化するのか?身体への負荷は?必要な装備は?というあたりを考えていきたいと思います。

 

【平均速度 と所要時間】

5km/15分=1km/3分=平均時速:20km

=10km/30分 | 15km/45分 | 20km/60分

 

5km/20分=1km/4分=平均時速:15km

=10km/40分 | 15km/60分 | 20km/80分

※ここでは「信号待ち等で停止している時間も含めたグロスの平均速度」として計算しています。

 

まずは、目安となるグロス平均速度として時速20kmと時速15kmを設定し、目的地までの所要時間を比較してみました。

ここでのポイントはズバリ、単純な走行スピードだけで考えないこと。

競技レースの専用コースではなく、交通ルールに則って一般公道を走行する自転車通勤ならではの “走り方のコツ” を理解しておくと、より快適で安全な走行の実践に役立つでしょう。

【自転車通勤考】10kmオーバー編

―自転車通勤は立派なエクササイズ。

1ステージで200km近い距離を走行するプロクラスのロードバイクレースでは、トップ選手たちの平均速度は時速40km、最高速度は80km以上にも達しますが、特に都市部における自転車通勤では、その半分となる「グロス平均速度20km」をキープすることも至難の業となります。

その理由は「走行スピード」と「信号待ちの待機時間」との関係性にあります。

日々過酷なトレーニングを積んだトッププロ選手による競技レースと、我々ツーキニストの走行スピードの比較に意味を見出すことは困難ですが、それでも個人の絶対的な走行スピードの平均をあげることが、より早く目的地に到着しようとする場合の最も有効な手段であることは確かです。

しかし、走行スピードだけを追求できる競技レースと違って、交通ルールを遵守しなければならない一般公道での自転車通勤には「信号による一時停止」という強制的なインターバルが存在します。時速30km近いスピードで走行してきたロードバイクも、時速15kmで走行してきたママチャリも、目の前が赤信号になれば均しく「止まれ」です。信号の表示サイクルは、一般公道の交通安全と円滑な走行環境を守るために様々な制御方式によってコントロールされています。つまり、正しい通勤ライドでは、その走行速度に関わらず信号の表示サイクルによって常にストップ&ゴーを繰り返すことになるわけです。そして、信号の多い都市部ではこのストップ&ゴーのサイクルが特に短く、単純な走行速度の上昇がグロス平均速度の上昇に直結しないという現象が起こります。

少し先に見えた青信号を無理矢理スピードをあげてギリギリのタイミングでパスしても、その先に2つ3つとある信号が無情にも赤に変わる・・・とか、ついさっき肩で息をするくらいスピードをあげて追い抜いたはずのライダーが次の赤信号で涼しい顔で後ろに着く・・・という経験をお持ちの通勤ライダーもたくさんいらっしゃると思います。

より安全に、余計な体力をロスせずに効率良く走行するためには、走行ルート上の信号の位置と間隔、そして表示サイクルと走行速度の適正なバランスを見つけ出すことが重要なポイントとなります。効率よくスピードに乗れる(信号待ちが少なく済む)区間と、頑張ってもスピードに乗れない(短サイクルでストップ&ゴーを繰り返す)区間でペダリングの仕方を変えてみたり、走行スピードに緩急をつけて信号の表示サイクルと同調できる位まで慣れてくれば、体力的なゆとりを残しながら平均速度をキープ(場合によっては上げることも)できるようになるはずです。

5kmから10km、15km・・・と走行距離を伸ばしていった場合の所要時間と身体への負荷との関係性について、なんとなくイメージしていただけたでしょうか?少なくとも、自転車通勤が「インターバルのあるエクササイズ」であることはご理解いただけたかと思います。身体に急激な負荷をかけないように、瞬発的に走行スピードをあげることはせずペースをできるだけ平均化していくイメージで、少しずつ目的地到着までのグロス平均速度をあげていきましょう!

【自転車通勤考】10kmオーバー編

―自転車を選ぶ

beruf的視点で「10kmオーバー」の自転車通勤にお勧めしたい車種は「ロードバイク」もしくは「クロスバイク」です。

10km以上の走行距離と所要時間を考慮すると、快適に走るために一定水準以上の走行性能が求められます。単純な走行スピードを上げるために “速く走れる” という性能は絶対的な正義となります。頑張ってペダリングしてもスピードが上がり切らない車種はこの距離の自転車通勤にはあまり向きません。同時に、走行中の操作性と安定性、乗車時のポジションチェックをお忘れなく。運転操作がクイックで繊細過ぎたり、ポジションが前傾し過ぎたりすると事故リスクや疲労蓄積の原因となります。それから、車体やパーツの耐久性とメンテナンスのし易さも意識してみるとより良い1台に出会えると思います。毎日の通勤で使う自転車が故障し易かったり、メンテナンスがし難いようでは安心して乗ることはできません。

 

【ロードバイク】

競技用の自転車として走行スピードを追求した”速く”走るための自転車。走行スピードを求める人にお勧めの車体となりますが、ドロップハンドルを採用しているため乗車時のポジションは前傾となり、ホイールベースの距離が短くタイヤも細いため運転操作にもある程度の慣れが必要です。また、走行性能を追求した高規格なパーツコンポーネントを採用しているため車体価格も高額となります。フラットバーハンドルを採用した【フラットバーロード】や、ダート走行に特化した【グラベルロード】と呼ばれるカテゴリもあり、互換パーツによる拡張性が高いことも特徴です。

▶ポジティブ:走行スピード重視。通勤用途以外にもスポーツとして自転車を楽しめる。拡張カテゴリの登場によりオフロードまでカバーできるように。

▶ネガティブ:運転操作に慣れが必要。疲労が蓄積し易い前傾ポジション。高額な車体価格と底なしの拡張パーツ、装備一式。

【クロスバイク】

ロードバイクのフレームジオメトリを踏襲しながら、ホイールベースの距離を長くとることで走行中の操作性と直進安定性を向上させた街乗り向けの自転車。フラットバーハンドルを採用しているため乗車時のポジションはかなり楽になります。タイヤもロードバイクより太くなるため、路面の段差や側溝にも対応します。パーツコンポーネントもスタンダードな規格で組まれているため車体価格はロードバイクよりもリーズナブルです。ロードバイクとは似て非なるもの。

▶ポジティブ:楽な乗車ポジション。安定した操作性。一定水準以上の走行性能。泥除け、カゴなどの街乗りに適したパーツ展開。比較的リーズナブルな車体価格。

▶ネガティブ:走行性能やパーツによる拡張性には限界が。

 

それぞれの車体の特徴を簡単に書き出してみました。ロードバイクとクロスバイクでは、車体の基本的な性能(搭載パーツコンポーネントのグレードによるところが大きい)がそもそも異なっているわけですが、その差は車体価格にも如実に表れています。但し、本来の車体性能をどれだけ引き出せるか?は自身の運動能力によるところが大きく影響してきますし、自転車に乗る目的によって必要となる車体性能の解釈も大きく変化します。高額なロードバイクが一様に素晴らしい!という訳ではなく、それぞれの車体のポジ・ネガも乗る人のマインド次第で入れ替わることもあり得ます。あくまでも能力と目的に合致する性能を備えた車体がベストとなります。

【自転車通勤考】10kmオーバー編
【自転車通勤考】10kmオーバー編

―スタイルを考える

前回のコラムでは、普段着でもOKな5kmの自転車通勤の手軽さを推しましたが、そこから10km、15km、果ては20km以上・・・と走行距離を伸ばしていく場合はそうもいきません。走行距離が10kmの場合でも30分~40分程度の有酸素運動をすることになるわけですから、出来るだけ身体を動かし易いウェアと、仕事着を着替えとして収納できるサイズのバッグが必要になってきます。

より快適に自転車に乗るための【サイクルウェア】でビシッと決めるのも良いですし、ランや他のエクササイズにも併用できる【スポーツウェア】、野外でのアクティビティに全方位で対応する【アウトドアウェア】の組み合わせもお勧めです。持ち運ぶ着替えの量をできるだけ少なく出来るように、自由な発想でコーディネートを工夫して楽しんでみると、自分なりのオリジナルスタイルにたどり着くはずです。

画像は12月上旬頃の筆者のスタイルですが、トップスは防風機能のあるアウターの下に保温機能のあるインナーベスト、そして綿のロングTシャツというレイヤー。ボトムスは動き易いショーツ+スパッツのレイヤーとしています。そこに防寒対策としてハンドウォーマーと、マスクの意味合いも兼ねたネックゲイターを組合せた冬期の定番スタイルです。また、バッグには仕事道具一式に+αの荷物として着替え(長ズボン・ロングTシャツ・ニット)が収納されています。この+αの荷物量は季節によって増減の幅が大きいのですが、1つの目安としてバッグの容量が20リットル以上のものから選ぶと良いでしょう。

【自転車通勤考】10kmオーバー編
【自転車通勤考】10kmオーバー編

最後に、beruf的視点で考える「10kmオーバー」の自転車通勤の総括として3つのポイントを置いて締めくくりたいと思います。

【マインドセット】競技性の無いエクササイズとして運動を楽しむ気持ちで。ストレスからの解放や、メンタルの切替スイッチとしても効果絶大。

【車体スペック】気持ちよく走れる走行性能と操作性、安定性のバランスを考慮して最適な1台を。定期メンテナンスを忘れずに。

【装備スペック】エクササイズとして心地良く向き合えるウェア選び。20リットル以上のバッグで容量にはゆとりを。

10kmオーバーの自転車通勤には入念な準備と最適な装備が必要となりますが、5kmの距離では味わえない醍醐味があります。エクササイズやギアホリックな趣味としても楽しめる要素満載の、ちょっとディープな自転車通勤の世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。(了)

AFTERWORD

文章:佐野 賢太(beruf baggage)

写真:石川 望

この記事を書き上げた12月中旬。ちょうど大きな寒波が到来し、季節はいよいよ冬本番に突入となりました。朝6時はまだ暗く、最低気温は氷点下まで下がる、自転車通勤には少々厳しい季節です。そんな時、心の支えになるのは「ちゃんとエクササイズしてるんだ」という自己満足感。自分の身体がどんどん健康になっていく、というイメージを膨らませつつ寒空の下をやり過ごします。冬の美味しい食材と暖かい食卓の誘惑に負けて膨らみがちな四十路のお腹と日々闘いつつ・・・。

【関連リンク】

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